債権回収の流れ

債権回収の流れ

  1. 通常の場合、本人名義或いは弁護士名義の内容証明を相手方に送り、返済を請求します。

    この際、元本のみならず、利息・遅延損害金も請求する場合には、どのような形で請求するか明示します。

    内容証明発送後、一定期間内に返済する旨の回答がある場合には、返済金額、返済方法、遅延損害金などを確定し、和解書(示談書)を作成します。和解書作成後は、その和解内容に沿った形で返済がなされます。和解内容に沿った形で返済がなされない場合には、遅延損害金を付加した上で請求します。和解書(示談書)は公正証書で作成することもあります。

    内容証明発送後、一定期間経過後も回答がない場合、或いは返済を拒否する旨の回答があった場合には、法的手続きをとります。

    金額が140万円以下の場合、管轄する簡易裁判所へ提訴します。管轄権のある簡易裁判所は、債権者の住所地を管轄する簡易裁判所か債務者の住所地を管轄する簡易裁判所のいずれかですが、貸付時の契約書に管轄裁判所が記載されている場合にはその裁判所となります。

    金額が140万円を超える場合には、管轄する地方裁判所へ提訴します。管轄権のある地方裁判所は、債権者の住所地を管轄する地方裁判所か債務者の住所地を管轄する地方裁判所のいずれかですが、貸付時の契約書に管轄裁判所が記載されている場合にはその裁判所となります。

    裁判において勝訴した場合には、債務名義を取得しますので、その債務名義に基づいて強制執行の手続きを取ります。

  2. 債務者が財産を隠匿する恐れがある場合

    上記のように、内容証明を送ったうえで裁判を起こす場合には、裁判前に財産を隠匿される可能性があります。その場合には、内容証明を送ったり、裁判を起こす前に、仮差押の手続きを取るという方法もあります。

    仮差押の手続きが認められるためには、現時点で仮差押をしておかなければ判決を得た後に執行する際には、当該財産が散逸してしまうおそれがあるといった保全の必要性が認められることが必要になります(民事保全法20条1項)。この手続きにおいて、裁判所から、差押命令が下された場合には、その財産が仮に差し押さえられ、債務者はその財産を自由に処分することができなくなります。

    例えば、仮に差押えた財産が不動産の場合、その不動産を売却することができなくなったり、預貯金の場合には、その預貯金を下ろすことができなくなったりします。

    その後、通常の裁判を起こし、勝訴判決が確定し、債務名義を取得した場合には、仮に差押えた財産から回収を図ることができます。

債権回収をする場合の注意点

  1. 債務者の現住所の確認

    債務者に金銭を貸した後、債務者が住所を変えるということはよくあることです。

    この場合、債務者の現在の住所を確認しないまま、内容証明を発送しても本人に届かないことがあります。

    したがって、まず、債務者の現在の住所を把握することが必要となります。債務者の現在の住所が分からない場合にも、以前の住所が分かれば、住民票の調査などを通じて現在の住所を把握することができます。

    また、住所が分からなくても電話番号が分かれば、弁護士会の照会手続きなどを通じて、現在の住所を把握することができます。また、職場が分かれば、場合によっては現在の住所を調べることも可能です。

  2. 債務者の財産の把握

    次に、債務者の所在が分かったとしても、債務者に全く収入や財産がなく、返済の意思もないような場合には、現実的には、債権回収が困難な場合があります。

    したがって、債権回収を図るにあたっては、まず、債務者が現在どこかに勤めているか、自営の場合には業務を行っているかを把握する必要があります。

    また、どこに預貯金口座を持っているか、不動産があるか、自営の場合には、どういう取引先があるか(売掛金があるか)についてもできるだけ調べる必要があります。その他、差し押さえが考えられる財産としては、電話加入権、ゴルフ会員権、社員持分権などがあります。

  3. 債務者が法的整理を行った場合

    債務者が破産手続きを取った場合、各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい。

    換価可能な財産がある場合には、原則として按分で返済が受けられます。仮に、債権者が破産手続き前に訴訟を起こしているような場合には、訴訟は中断されます。

    債務者が個人再生の手続きを取った場合にも各債権者に通知が来ますので、債権届を提出して下さい。

    最低弁済基準に沿った弁済額を前提に、原則として按分で返済を受けられます。

    仮に、債権者が個人再生の手続き前に訴訟を起こしているような場合には、破産の場合と異なり、訴訟は中断されません。債務者が個人再生ではなく、通常再生の手続きを取っている場合には、訴訟は中断されます。

    債務者が任意整理の手続きを取った場合、通常、弁護士が債務者の代理人としてつきますので、その弁護士と交渉することになります。

    任意整理の場合、債権者としては、法律上減額する義務などは無いので、あくまで自己の考える債権額を請求することはできますが、その場合、債務者が途中で破産・個人再生といった法的整理に切り替える可能性もありますので、債務者の財産状況、他の債権者の数・負債総額などから、どのような内容で和解するか考えることになります。

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