個人再生Q&A

Q&A(個人再生)

1.どういう場合に個人再生を選択するのでしょうか。

破産はしたくないが、任意整理では金額があまり減らず返済していくことができない場合、警備員などの職業制限のある職業についており破産はできない場合、債務整理をしたいが、住宅ローンがあり住宅は手放したくない場合(住宅資金特別条項付のケース)などの場合に、個人再生を選択する意味があります。

2.個人再生をするとどういう不利益・不都合が生じますか。

  1. 全情連・CIC・KSCといった信用情報機関に登録され(いわゆるブラックリスト)、5〜7年は、クレジットカードの利用や新たな借入れができなくなり点は任意整理・破産と同じです。
  2. 再生手続開始決定時、書面決議に付する旨・意見を聞く旨の決定時、再生計画の認可決定時の3回、官報に氏名が掲載されます。
  3. 保証人がついている場合には、保証人に対して、請求がなされることになります。

3.認可決定後の弁済額は幾らなのでしょうか。

個人再生の場合、幾ら返済するかについては、複数の基準があり、これらを下回らないことが要件となっております。

  1. 最低弁済基準(民事再生法231条2項3号、同項4号)
    ア 基準債権総額が100万円未満の場合〜基準債権の総額
    イ 100万円以上500万円未満の場合〜100万円
    ウ 500万円以上1500万円以下の場合〜基準債権総額の2割相当額
    エ 1500万円超3000万円以下の場合〜300万円
    オ 3000万円超5000万円以下の場合〜基準債権総額の1割相当額
  2. 清算価値保障基準(民事再生法230条、174条2項4号、241条2項2号)

    破産手続がなされた場合に、債権者に分配される総額のことを清算価値と言い、個人再生の場合には、この清算価値を下回る弁済額は認められておりません。清算価値の基準時は再生計画案の認可決定時です。

  3. 可処分所得基準

    2年分の可処分所得を算出し、この2年分の可処分所得以上の弁済をしなければならないという基準です。可処分所得とは、再生計画提出前の2年間の再生債務者の総収入から税金・社会保険料を引いたものを2で割った額から申立人及びその被扶養者の1年分の生活費を控除した残りをいいます。1年分の生活費の算出基準については、政令で定められております
    (民事再生法241条3項)。

小規模個人再生の場合には、(1)、(2)のうち金額の高い額が、給与所得者等再生手続の場合には、(1)〜(3)のうち最も金額の高い額が計画弁済額となります。

4.何年で返済していくのでしょうか。

原則3年ですが、特段の事情がある場合には5年を超えない期間とすることができます。

5.認可決定後の弁済は、いつから始まりますか。

再生計画の認可決定が確定した日の属する月の翌月からとなります。認可決定の確定日は、官報掲載から2週間後となっております。通常の流れは、認可決定が出てから概ね2週間後に官報に掲載され、更にその2週間後に確定しますので、その翌月から弁済を開始していくことになります。

6.法人も利用できるのでしょうか。

できません。法人の場合には通常の民事再生手続になります。

7.負債額が5000万円を超える場合にも利用できるのでしょうか。

できません。この場合も、通常の民事再生手続になります。

8.認可決定が下りた場合、税金や社会保険料(健康保険料・国民年金保険料)も減額されますか。

減額されません。税金や社会保険料については、権利変更の対象にはならないとされております(民事再生法122条1項、2項)。

9.小規模個人再生と給与所得者等再生とはどう違うのでしょうか。

  1. 給与所得者等再生を利用する場合には、給与その他これに類する定期的な収入を得る見込みがあって、かつその額の変動の幅が小さいことが必要ですので(民事再生法221条1項)、この要件を満たさない場合には、小規模個人再生しか利用できません。
  2. 小規模個人再生においては、債権者の過半数の消極的同意が必要ですが、給与所得者等再生の場合には、債権者の意見聴取のみで足ります。
  3. 小規模個人再生の場合には、計画弁済額が、最低弁済基準及び清算価値基準の双方を満たせば足りますが、給与所得者等再生の場合には、これらのほか可処分所得基準も満たす必要があります。
  4. 給与所得者等再生の場合には、再度の利用制限が課せられていたり(民事再生法239条5項2号)や破産における免責不許可事由(破産法252条1項10号)とされておりますが、小規模個人再 生の場合には、そのようなことはありません。
    なお、東京地裁本庁における個人再生の利用状況ですが、概ね8割程度が小規模個人再生の利用です。これは給与所得者等再生の可処分所得基準が厳しいのが一つの理由です。

10.小規模個人再生において、債権者の過半数の同意は得られるのでしょうか。

債権者が銀行、消費者金融、信販会社などである場合、同意が得られることが多いです。
これは、債権者としては、不同意にした結果、個人再生が認められず、最終的に破産となった場合には、全く返済されない可能性があり、そのような結果になるのであれば減額したとしても返済してもらったほうが良いからです。但し、鞄本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)等の政府系金融機関の場合には、不同意意見を出してくることが多いです。

11.個人再生の申立てをした場合、債権者は訴訟を提起したり、強制執行したりできるのでしょうか。

訴訟に関しては、債権者は訴訟提起することは可能です(民事再生法238条1項により同法40条の準用無)。理論的に言いますと、個人再生の場合には、通常再生と異なり、債権調査手続きの結果に再生債権の実体的確定効が付与されていないため、訴訟手続きの中断効を発生させることができないからです。強制執行に関しては、再生手続開始決定により、以後、強制執行を申し立てることはできず、現在進行している強制執行は中止されます(民事再生法39条1項)。

12.再生債権について、いつの時点までの利息がつくことが多いのでしょうか。

当事務所では、原則として、引直計算後の最終取引日時点での金額を債権額として申立てをしますが、その後の債権者による債権届出では、再生手続開始決定前までの利息をつけてくることがあります。
法律上は、再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(民事再生法84条1項)のほか、再生手続開始後に発生する請求権であるが元本に附帯する請求権も再生債権として扱われているため(同条2項)、法律上は、再生手続開始決定後の利息も含めることは可能ですが、一般的には、再生手続開始決定時までの利息をつけて債権額を届け出ることが多いです。
この場合、こちらが異議を出さなければ、債権者の届け出た債権額で再生債権が確定されます。
異議を出した場合には、その後、債権者が評価申立ての手続を取らなければ、こちらが申し立てた債権額で確定され、債権者が評価申立ての手続を取った場合には、最終的には、裁判所が決定した金額が再生債権となります。

13.自分が主債務者となっている負債のほか保証人となっている負債についても申し立てる必要があるのでしょうか。

あります。自分が債務者になっている負債については、全て申立ての対象となります。具体的には、主債務のほか連帯債務、連帯保証などです。

14.特定の債権者に弁済してから個人再生の申し立てをすることは可能でしょうか。

偏頗弁済となりますが、個人再生の場合には、可能です。但し、偏頗弁済分を再生計画案上の返済額に加えることになります。これは、特定の債権者のみ優先的に支払うことは他の債権者との関係で不公平となるため、一定の金額を加算することで他の債権者との公平を図るためです。

15.近く学資保険が満期となり100万円が支払われます。この金額は高校の入学金に充てたいのですが、全額が清算価値に含まれるのでしょうか。

原則としては、学資保険の満期金も資産ですので、清算価値に含まれます。しかしながら、任意で保険を解約する場合と異なり、満期の時期や使途がある程度決まっているものについて全て清算価値に算入することは著しく不当な結果になることがあります。学資保険については通常まとまった金額が支払われますので、個人再生を利用する意味がほとんどない場合もあります。そこで、場合によっては、他の資産などとも調整して一定額のみを清算価値に算入することもできます。

16.勤めている会社(未上場)の株式を保有しておりますが、資産になるのでしょうか。資産になるとして、どのように価格を算定するのでしょうか。

原則として資産になります。価格の算定方法ですが、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式などがあります。実際には会社の顧問税理士に計算してもらうことになります。

17.勤めている会社に貸付金がありますが、会社には資産が何もなく回収できる見込みがありません。この場合にも資産となるのでしょうか。

原則として資産になります。現在、回収の見込みがなくとも会社が存続している限り回収できる可能性があるからです。

18.自分が保証人となっている負債について、主債務者は約定に従って返済を続けているのですが、自分が個人再生を申し立てることによって主債務者に影響が生じますか。

どのような金銭消費貸借契約を締結しているかによります。保証人が個人再生の申立てをしたことが契約上の期限の喪失事由に該当する場合には、債権者は主債務者に対して、一括請求することができます。ただ、実際には、主債務者が約定の返済を続けている限り、一括請求をしてこないこともあります。この場合、再生計画案については、再生計画案提出時の残債務額に基づいて提出しますが、この再生計画案は主債務者の返済には影響を及ぼしませんので、あくまで主債務者は約定に従った返済を続けていくことになります。この場合の同債務についての再生計画案はあくまで書面上のものであり、主債務者が約定の返済を続けている限り、実際上は同債務について申立人が再生計画案に基づく返済をする必要はないものと思われます。

19.小規模個人再生において、再生計画案が不認可となった場合、どうなるのでしょうか。

申立人が自己破産を望む場合には職権破産に移行します。自己破産を望まない場合には、給与所得者等再生或いは任意整理を選択することになります。

20.小規模個人再生において、再生計画に従った返済が困難となった場合には、再生計画を変更することはできるのでしょうか。

できます。具体的には、再生計画認可後やむを得ない事由で再生計画の遂行が著しく困難となった場合には、2年を超えない範囲で返済期間を延長することができます(民事再生法234条1項)。例えばリストラにより収入が途絶えた場合や給料が大幅に減少した場合などには利用できる可能性があります。

21.ハードシップ免責とは何ですか。

再生計画の遂行が極めて困難となった場合において、残債務の支払いを免除されることを言います。具体的には、(1)再生計画の遂行が極めて困難であること、(2)各再生債権につき4分の3以上の弁済を終えていること、(3)再生債権者の一般の利益に反するものでないこと(清算価値保障原則に反しないこと)、(4)再生計画の変更も極めて困難であることといった要件を具備する場合には、ハードシップ免責が認められます(民事再生法235条)。

22.清算価値はいつの時点で評価するのでしょうか。

東京地裁の扱いでは、原則として再生計画認可時を基準としておりますが、実際には、開始決定時の清算価値に大きな変動がなければ、開始決定時の清算価値で評価されることが多いです。

23.履行テストとは何ですか。

個人再生の申し立てから認可決定がおりるまで、今後支払いが継続して行えるかテストをすることを言います。具体的には、例えば再生委員が選任される場合には、再生委員が指定する口座に、毎月、将来の返済額相当額を積み立てをします。これがきちんと行えれば、将来返済を続けていくこともできるだろうと判断され、認可がおりやすくなります。

Q&A(住宅資金特別条項個人再生)

1.住宅に、住宅ローンとは関係の無い債権(生活費のため消費者金融から借り入れをした場合の消費者金融の債権等)について、抵当権その他担保権が設定されている場合にも住宅資金特別条項を設けることはできますか。

できません(民事再生法198条1項但書前段)。
個人再生においても、担保権者は別除権者として別除権を行使することができ、そうすると再生計画で住宅資金特別条項を定めたとしても、別除権の行使により住宅の処分が可能となり、住宅資金特別条項が無に帰するからです。

2.投資用の物件については、住宅資金特別条項を利用できますか。

できません。上記で述べましたように、居住用の物件にあたらないからです。

3.住宅資金特別条項を利用した場合にも、債権者は債務者の遅滞等について、保証人の法的責任を追及することはできるのでしょうか。

追及することはできません。本来、個人再生の手続を取ったとしても、債権者が保証人の責任を追及することは可能なのですが(民事再生法117条2項)、住宅資金特別条項を利用した場合には、債務者が住宅資金特別条項に沿った返済を続けている限り、保証人は責任を追及されません(同法203条1項)。

4.住宅ローンの負債しかない場合でも住宅資金特別条項付個人再生を利用できますか。

できます。この場合、上記5類型のいずれかを選択することになります。

5.住宅資金特別条項付個人再生を利用するメリットが大きいのはどのような場合でしょうか。

一般の負債が500万円以上あるような場合には、同制度を利用すれば、一般の負債は大幅に減りますので、メリットは大きいです。他方、一般の負債が100万円〜200万円の場合には、あまりメリットはありません。

6.変動金利の場合、どのような形で再生計画案を作成するのでしょうか。

再生計画案作成時点の金利で再生計画案を作成し、その後、金利変動時に、再度リスケすることになります。

7.もともとボーナス時に多めに支払う契約条件だったものを均等払いの形に変更することはできますか。

できます。但し、年間の総支払額がこれまでの総支払額に比較して大幅に減少しないことが必要です。

8.住宅ローン債権者が再生計画案に反対した場合、再生計画案は認められないのでしょうか。

同意型以外は、住宅ローン債権者の同意は不要ですので、住宅ローン債権者が再生計画案に反対したとしても法律の定める条件を満たす場合には、再生計画案は認められます。

9.当初の契約上の最終返済期の時点で70歳を超えておりますが、再生計画案において70歳を超える形にすることはできますか。

原則としてできません。最終弁済期延長型及び元本据置型においては、法律上70歳を超えないことが要求されているからです。従いまして、住宅ローン債権者の同意がない限りこのような再生計画案は作成できません。

10.再生計画案の認可決定が確定した場合、保証人・連帯債務者に対してはいかなる効力が生じますか。

再生計画案の効力は保証人・連帯債務者に対しても効力を生じます(民事再生法203条1項)。
仮に再生計画案の効力がこれらの者に対して及ばないとすると、リスケジュールをした意味がなくなるからです。なお、この場合、再生債務者は、住宅の共有者、住宅の敷地を所有する物上保証人、保証人、連帯債務者に対してその旨通知をしなければなりません(民事再生規則104条)。

11.申立前に事前にリスケジュールしてもらうことは可能でしょうか。

可能です。金利、返済期間が分かれば、事前にシュミレーションすることができます。
当事務所では、期限の利益回復型、最終弁済期延長型、元本据置型、同意型及びそのまま型それぞれの場合の返済方法について、ご依頼者様のご希望に沿ってリスケジュールいたします。

12.現在、住宅ローンの対象となっている住宅には住んでおりませんが、住宅資金特別条項付個人再生は利用できますか。

原則としてできません。「自己の居住の用に供する建物」でなければならないからです
(民事再生法196条1号)。但し、単身赴任中であるとか止むを得ない事情により別居しているなどの場合には、利用できることがあります。いかなる場合に「自己の居住の用に供する建物」と言えるかについては決まった基準は無く、居住できない理由、期間、住宅ローンの返済者は誰か等を総合して判断することになります。離婚後、一定期間(子供が大きくなるまで等)妻子に居住させ、期間経過後自分が居住する予定である場合についても、同様の基準で「自己の居住の用に供する建物」に該当するとされることがあります。

13.住宅について、買い戻し特約が付いている場合にも個人再生を利用できますか。

利用できます。法律上買い戻し特約が付いている場合について規制はないからです。

14.住宅について、税金の滞納について差押えがなされておりますが、個人再生を利用できますか。

利用できます。税金については個人再生の対象外ですので金額を減額することはできませんが、通常、個々に交渉して支払いを続けていくことで競売にかけられることを避けることが多いです。

15.住宅ローンについて、通常の抵当権ではなく、根抵当権が設定されている場合にも、個人再生を利用できますか。

住宅ローン以外の一般のローンが根抵当権によってカバーされている場合には利用できませんが、そうでなければ利用できます。

16.住宅について、競売が申し立てられておりますが、止めることはできますか。

できます。裁判所に競売手続中止命令申立てを行い、裁判所の中止命令を得た場合には、競売手続は止まります。その後、再生計画案について認可が下りた場合、競売は取り下げられますが、その際、競売費用を請求されることがあります。

17.住宅ローンについて、リスケを考えておりますが、住宅ローン債権者が同意しない場合でもリスケできますか。

できます。期限の利益回復型など、法律上認められた類型であれば、住宅ローン債権者の同意がなくともリスケできます。もっとも、裁判所に履行可能性があると判断してもらうことが必要です。

18.再生委員は必ず選任されるのでしょうか。

 再生委員が選任されるか否かは裁判所によって取り扱いが異なります。例えば東京地裁本庁では全件選任されますが、さいたま地裁本庁では必ずしもそうではありません。再生委員が選任されるか否かは費用にも影響しますので、申立前に必ず確認する必要があります。

利用できます。税金については個人再生の対象外ですので金額を減額することはできませんが、通常、個々に交渉して支払いを続けていくことで競売にかけられることを避けることが多いです。

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