個人再生(住宅ローンの無い場合)

当事務所では、以下の費用で個人再生(住宅ローン無)をやらせていただいております。

弁護士費用 16万円(税別)
実費 3万円
再生委員費用 15万円程度(再生委員が選任された場合)

個人再生とは

個人再生とは、通常の再生手続の特則として認められている手続で、5000万円以下の負債を抱える個人で、将来、継続的または反復して収入を得る見込みのある者につき、裁判所の認可決定により、元本を大幅にカットして返済することを認める手続です。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生があり、また、住宅ローンが存在するような場合には、それぞれにつき、住宅資金特別条項をつけることができます。

個人再生の流れ

標準スケジュール

  1. 弁護士が受任通知書を発送し、各債権者から取引履歴が送られてきた後、その取引履歴について、引直計算をするところまでは、任意整理・破産と同様です。その後、引直計算によって、最終的な負債額が確定した後、その金額全額を返済することは困難だが、大幅に減額すれば返済が可能であると判断した場合に、個人再生の申立てをします。
  2. その後、東京地裁本庁の場合、申立日に、裁判所から個人再生委員が選任され、後日、申立人及び申立人代理人が個人再生委員と面談をします。 その面談により、個人再生委員が、再生手続開始が相当であるとの意見を出した場合には、裁判所が、再生手続開始決定を下し、再生手続が進行するこになります。
  3. 再生手続開始決定から約1月後が各債権者の債権届出期限となっておりますので、その期限までに各債権者がそれぞれ考える債権額を届け出ます。仮に債権者が債権届出をしなかった場合には、申立人代理人が申立書に記載した債権額が再生債権として扱われます。
  4. 債権者が届け出た債権額に争いがない場合或いは債権者が債権届出をしなかった場合には、債権届出期限から約2月後に、申立人代理人が再生計画案を提出し、その後書面決議或いは債権者の意見聴取を経て、認可・不認可の決定が下され、確定により手続は全て終了します。
  5. 債権者が届け出た債権額に争いがある場合には、申立人代理人が異議を述べ、その異議に対して、債権者が更に争う場合には、債権者が再生債権の評価申立てを起こしてきます。この場合には、再生委員の意見書をもとに裁判所が債権額を確定することになります。その後の流れは上記(4)と同じです。
  6. 標準スケジュールによりますと、申立てから25週間程度で終了することが多いです。
  7. 弁護士費用を除いた裁判にかかる費用ですが、東京地裁の場合、申立て時に、手続費用として金2万3528円(収入印紙代1万円、裁判所予納金1万1928円、予納郵券代金1600円)がかかります。 また、申立て後1週間以内の日を第1回として、以後、毎月1回、期間は約6月間、再生委員の口座に、分割予納金として、計画弁済予定額を振り込みます。計画弁済予定額は、認可決定後返済していく予定の毎月の返済額とほぼ同額です。

詳細は→Q&A(個人再生)へ

Q&A(個人再生)

1.どういう場合に個人再生を選択するのでしょうか。
破産はしたくないが、任意整理では金額があまり減らず返済していくことができない場合、警備員などの職業制限のある職業についており破産はできない場合、債務整理をしたいが、住宅ローンがあり住宅は手放したくない場合(住宅資金特別条項付のケース)などの場合に、個人再生を選択する意味があります。
2.個人再生をするとどういう不利益・不都合が生じますか。
  1. 全情連・CIC・KSCといった信用情報機関に登録され(いわゆるブラックリスト)、5〜7年は、クレジットカードの利用や新たな借入れができなくなり点は任意整理・破産と同じです。
  2. 再生手続開始決定時、書面決議に付する旨・意見を聞く旨の決定時、再生計画の認可決定時の3回、官報に氏名が掲載されます。
  3. 保証人がついている場合には、保証人に対して、請求がなされることになります。
3.認可決定後の弁済額は幾らなのでしょうか。
個人再生の場合、幾ら返済するかについては、複数の基準があり、これらを下回らないことが要件となっております。
  1. 最低弁済基準(民事再生法231条2項3号、同項4号)
    ア 基準債権総額が100万円未満の場合〜基準債権の総額
    イ 100万円以上500万円未満の場合〜100万円
    ウ 500万円以上1500万円以下の場合〜基準債権総額の2割相当額
    エ 1500万円超3000万円以下の場合〜300万円
    オ 3000万円超5000万円以下の場合〜基準債権総額の1割相当額
  2. 精算価値保障基準(民事再生法230条、174条2項4号、241条2項2号)

    破産手続がなされた場合に、債権者に分配される総額のことを精算価値と言い、個人再生の場合には、この精算価値を下回る弁済額は認められておりません。精算価値の基準時は再生計画案の認可決定時です。

  3. 可処分所得基準

    2年分の可処分所得を算出し、この2年分の可処分所得以上の弁済をしなければならないという基準です。可処分所得とは、再生計画提出前の2年間の再生債務者の総収入から税金・社会保険料を引いたものを2で割った額から申立人及びその被扶養者の1年分の生活費を控除した残りをいいます。1年分の生活費の算出基準については、政令で定められております(民事再生法241条3項)。

    小規模個人再生の場合には、(1)、(2)のうち金額の高い額が、給与所得者等再生手続の場合には、(1)〜(3)のうち最も金額の高い額が計画弁済額となります。

4.何年で返済していくのでしょうか。
原則3年ですが、特段の事情がある場合には5年を超えない期間とすることができます。
5.認可決定後の弁済は、いつから始まりますか。
再生計画の認可決定が確定した日の属する月の翌月からとなります。認可決定の確定日は、官報掲載から2週間後となっております。通常の流れは、認可決定が出てから概ね2週間後に官報に掲載され、更にその2週間後に確定しますので、その翌月から弁済を開始していくことになります。
6.法人も利用できるのでしょうか。
できません。法人の場合には通常の民事再生手続になります。
7.負債額が5000万円を超える場合にも利用できるのでしょうか。
できません。この場合も、通常の民事再生手続になります。
8.認可決定が下りた場合、税金や社会保険料(健康保険料・国民年金保険料)も減額されますか。
減額されません。

税金や社会保険料については、権利変更の対象にはならないとされております(民事再生法122条1項、2項)。

9.小規模個人再生と給与所得者等再生とはどう違うのでしょうか。
  1. 給与所得者等再生を利用する場合には、給与その他これに類する定期的な収入を得る見込みがあって、かつその額の変動の幅が小さいことが必要ですので(民事再生法221条1項)、この要件を満たさない場合には、小規模個人再生しか利用できません。
  2. 小規模個人再生においては、債権者の過半数の消極的同意が必要ですが、給与所得者等再生の場合には、債権者の意見聴取のみで足ります。
  3. 小規模個人再生の場合には、計画弁済額が、最低弁済基準及び精算価値基準の双方を満たせば足りますが、給与所得者等再生の場合には、これらのほか可処分所得基準も満たす必要があります。
  4. 給与所得者等再生の場合には、再度の利用制限が課せられていたり(民事再生法239条5項2号)や破産における免責不許可事由(破産法252条1項10号)とされておりますが、小規模個人再生の場合には、そのようなことはありません。

    なお、東京地裁本庁における個人再生の利用状況ですが、概ね8割程度が小規模個人再生の利用です。これは給与所得者等再生の可処分所得基準が厳しいのが一つの理由です。

10.小規模個人再生において、債権者の過半数の同意は得られるのでしょうか。
債権者が銀行、消費者金融、信販会社などである場合、同意が得られることが多いです。

これは、債権者としては、不同意にした結果、個人再生が認められず、最終的に破産となった場合には、全く返済されない可能性があり、そのような結果になるのであれば減額したとしても返済してもらったほうが良いからです。但し、鞄本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫)等の政府系金融機関の場合には、不同意意見を出してくることが多いです。

11.個人再生の申立てをした場合、債権者は訴訟を提起したり、強制執行したりできるのでしょうか。
訴訟に関しては、債権者は訴訟提起することは可能です(民事再生法238条1項により同法40条の準用無)。理論的に言いますと、個人再生の場合には、通常再生と異なり、債権調査手続きの結果に再生債権の実体的確定効が付与されていないため、訴訟手続きの中断効を発生させることができないからです。強制執行に関しては、再生手続開始決定により、以後、強制執行を申し立てることはできず、現在進行している強制執行は中止されます(民事再生法39条1項)。
12.再生債権について、いつの時点までの利息がつくことが多いのでしょうか。
当事務所では、原則として、引直計算後の最終取引日時点での金額を債権額として申立てをしますが、その後の債権者による債権届出では、再生手続開始決定前までの利息をつけてくることがあります。

法律上は、再生手続開始前の原因に基づいて生じた財産上の請求権(民事再生法84条1項)のほか、再生手続開始後に発生する請求権であるが元本に附帯する請求権も再生債権として扱われているため(同条2項)、法律上は、再生手続開始決定後の利息も含めることは可能ですが、一般的には、再生手続開始決定時までの利息をつけて債権額を届け出ることが多いです。

この場合、こちらが異議を出さなければ、債権者の届け出た債権額で再生債権が確定されます。

異議を出した場合には、その後、債権者が評価申立ての手続を取らなければ、こちらが申し立てた債権額で確定され、債権者が評価申立ての手続を取った場合には、最終的には、裁判所が決定した金額が再生債権となります。

13.自分が主債務者となっている負債のほか保証人となっている負債についても申し立てる必要があるのでしょうか。
あります。

自分が債務者になっている負債については、全て申立ての対象となります。具体的には、主債務のほか連帯債務、連帯保証などです。

14.特定の債権者に弁済してから個人再生の申し立てをすることは可能でしょうか。
偏頗弁済となりますが、個人再生の場合には、可能です。但し、偏頗弁済分を再生計画案上の返済額に加えることになります。これは、特定の債権者のみ優先的に支払うことは他の債権者との関係で不公平となるため、一定の金額を加算することで他の債権者との公平を図るためです。
15.近く学資保険が満期となり100万円が支払われます。この金額は高校の入学金に充てたいのですが、全額が清算価値に含まれるのでしょうか。
原則としては、学資保険の満期金も資産ですので、清算価値に含まれます。しかしながら、任意で保険を解約する場合と異なり、満期の時期や使途がある程度決まっているものについて全て清算価値に算入することは著しく不当な結果になることがあります。学資保険については通常まとまった金額が支払われますので、個人再生を利用する意味がほとんどない場合もあります。そこで、場合によっては、他の資産などとも調整して一定額のみを清算価値に算入することもできます。
16.確定拠出年金が200万円あります。このお金も精算価値に算入されるのでしょうか。
されません。まず、前提として、国民年金等の年金は精算価値には算入されません。確定拠出年金も他の年金と同じ扱いを受けるため、精算価値には算入されません。
17.勤めている会社(未上場)の株式を保有しておりますが、資産になるのでしょうか。資産になるとして、どのように価格を算定するのでしょうか。
原則として資産になります。価格の算定方法ですが、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式などがあります。実際には会社の顧問税理士に計算してもらうことになります。
18.勤めている会社に貸付金がありますが、会社には資産が何もなく回収できる見込みがありません。この場合にも資産となるのでしょうか。
原則として資産になります。現在、回収の見込みがなくとも会社が存続している限り回収できる可能性があるからです。
19.時価100万円の自動車を保有しております。この自動車は処分したくないのですが、処分しなくとも大丈夫でしょうか。
処分する必要はありません。個人再生の場合、自己破産と異なり、通常、資産を処分する必要はありません。但し、上記のように精算価値に含まれることになります。
  
20.知人が保証人となっておりますが、個人再生によって、保証人の負担も減りますか。
減りません(民事再生法235条7項)。保証人だけでなく、自宅を担保として提供している物上保証人の負担も減りません。なお、保証人自身が個人再生をすれば減ります。
21.自分が保証人となっている負債について、主債務者は約定に従って返済を続けているのですが、自分が個人再生を申し立てることによって主債務者に影響が生じますか。
どのような金銭消費貸借契約を締結しているかによります。保証人が個人再生の申立てをしたことが契約上の期限の喪失事由に該当する場合には、債権者は主債務者に対して、一括請求することができます。ただ、実際には、主債務者が約定の返済を続けている限り、一括請求をしてこないこともあります。この場合、再生計画案については、再生計画案提出時の残債務額に基づいて提出しますが、この再生計画案は主債務者の返済には影響を及ぼしませんので、あくまで主債務者は約定に従った返済を続けていくことになります。この場合の同債務についての再生計画案はあくまで書面上のものであり、主債務者が約定の返済を続けている限り、実際上は同債務について申立人が再生計画案に基づく返済をする必要はないものと思われます。
   
22.借金の全額をFXに使ってしまいました。このような場合にも、個人再生を利用できるのでしょうか。
できます。個人再生の場合には、自己破産と異なり、免責不許可事由というものは存在しませんので、借入れの理由がFXに使ったということだけで申し立てが認められないことはありません。この点は、借入れの理由が麻雀、パチンコなどの場合でも同じです。  
23.再生計画認可後に、他にも債権があることが判明しました。この場合、この債権については支払う義務はなくなりますか。
なくなりません。しかしながら、どのように支払っていくかについては、2通りあります。まず、届出がなかったことについて債権者に責任がない場合には、再生債権への返済と並行してかつ再生債権と同様の弁済率で返済していく必要があります。逆に届出がなかったことについて債権者に責任がある場合には劣後化され、再生債権の返済が終わってから、再生債権の弁済率と同じ弁済率で返済していきます(民事再生法第232条第3項、第244条)。
 
24.5年前に給与所得者等再生をしましたが、再び個人再生をすることはできますか。
小規模個人再生であれば可能です。再び給与所得者等再生を選択することはできません。法律上、給与所得者等再生における再生計画の認可決定が確定してから7年間は再度給与所得者等再生を申し立てることはできないとされております(民事再生法第239条第5項)。小規模個人再生の場合には、このような制限はありません。
 
25.5年前に小規模個人再生をしましたが、再び個人再生をすることはできますか。
可能です。小規模個人再生の場合には、再度個人再生を選択することについて制限はありません。
26.小規模個人再生において、再生計画案が不認可となった場合、どうなるのでしょうか。
申立人が自己破産を望む場合には職権破産に移行します。自己破産を望まない場合には、給与所得者等再生或いは任意整理を選択することになります。
27.小規模個人再生において、再生計画に従った返済が困難となった場合には、再生計画を変更することはできるのでしょうか。
できます。

具体的には、再生計画認可後やむを得ない事由で再生計画の遂行が著しく困難となった場合には、2年を超えない範囲で返済期間を延長することができます(民事再生法234条1項)。例えばリストラにより収入が途絶えた場合や給料が大幅に減少した場合などには利用できる可能性があります。

28.ハードシップ免責とは何ですか。
再生計画の遂行が極めて困難となった場合において、残債務の支払いを免除されることを言います。具体的には、(1)再生計画の遂行が極めて困難であること、(2)各再生債権につき4分の3以上の弁済を終えていること、(3)再生債権者の一般の利益に反するものでないこと(清算価値保障原則に反しないこと)、(4)再生計画の変更も極めて困難であることといった要件を具備する場合には、ハードシップ免責が認められます(民事再生法235条)。
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