個人再生 2(住宅ローンのある場合)

当事務所では、以下の費用で個人再生(住宅ローン有)をやらせていただいております。

弁護士費用 20万円(税別)
実費 3万円
再生委員費用 15万円程度(再生委員が選任された場合)

住宅資金特別条項個人再生とは

住宅ローンが存在する場合、その住宅を保持しながら返済を続けていくという制度です。

具体的には、住宅ローンについては、減額することなく、そのまま返済を続けていき(返済方法が変わることはあります。)、その他の債権について、上記の基準に従って減額させ、原則3年で返済をしていきます。この場合、申立てに際して、裁判所に、住宅資金特別条項を利用する旨の報告書を提出します。また、再生手続開始決定後も従前どおり住宅ローンの支払いを続ける場合には、弁済許可申請書を提出する必要があります。

住宅資金特別条項付個人再生の要件

一般的に言いますと、住宅ローンを返済している場合に、住宅資金特別条項を利用できますが、厳密には、住宅ローンの対象となる建物、敷地及び貸付債権について、法律の定める要件を満たす必要があります。以下、具体的にご説明いたします。

  1. まず、建物については、居住用の建物でなければなりません。正確には、「個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物」であり、「その床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されるもの」である必要があります。また、居住用建物が2以上ある場合には、主として居住用の建物として利用する建物に限られます(民事再生法196条1号)。
  2. 敷地については、「住宅の用に供されている土地又は当該土地に設定されている地上権」でなければなりません(同法196条2号)。
  3. 債権については、住宅資金貸付債権にあたる必要があります。

    正確には、「住宅の建設若しくは購入に必要な資金又は住宅の改良に必要な資金の貸付に係る分割払いの定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているもの」でなければなりません(同法196条3号)。要するに、住宅の建設等のために借り入れをしたものであって、分割払いとなっていなければならないということです。

    また、求償権ですが、住宅ローンを組んだ場合、保証会社と保証委託契約を締結することがあり、この場合、債務者が返済を怠った場合には、保証会社が代位弁済をすることになり、保証会社が代位弁済をした場合には、保証会社は債務者に求償することができるのですが、この求償権を担保するために抵当権を設定した場合も住宅資金貸付債権にあたります。

住宅資金特別条項付個人再生の類型

  1. 期限の利益回復型(民事再生法199条1項)

    一般弁済期間(住宅資金貸付債権以外の再生債権についての再生計画上の弁済期間。

    3〜5年)中に、遅滞していた元本及び利息並びに損害金を支払い、一般弁済期間後は当初の約定に従って返済を続けていく類型です。

  2. 最終弁済期延長型(同条2項)

    変更後の最終弁済期が当初の約定最終弁済期から10年を超えず、かつ変更後の最終弁済期における再生債務者の年齢が70歳を超えない範囲で最終弁済期を延長できる類型です。

  3. 元本据置型(同条3項)

    一般弁済期間の範囲内の期間(元本猶予期間)について、元本の一部及び元本に対する最終元本猶予期間中の住宅約定利息のみを支払う類型です。最終弁済期延長型との違いは、最終弁済期延長型の場合には、一般弁済期間において、元本の一部猶予が無いのに対して、この類型の場合には、元本が一部猶予されるという点です。

    変更後の最終弁済期が当初の約定最終弁済期から10年を超えず、かつ変更後の最終弁済期における再生債務者の年齢が70歳を超えない範囲で最終弁済期を延長できるという点は同じです。

  4. 同意型(同条4項)

    住宅資金貸付債権者と再生債務者の協議により住宅資金特別条項の内容を定める類型です。

  5. そのまま型

    住宅ローンについて延滞がない場合に、 再生手続申立て後も約定の定めに従って返済を続けていく類型です。直接の規定はありませんが、期限の利益回復型の1形態と考えられております。実際にはこの類型を用いることが多いです。

なお、当事務所は上記5類型のうちいずれにも対応しております。

詳細は→Q&A(住宅資金特別条項個人再生)へ

Q&A(住宅資金特別条項個人再生)

1.住宅に、住宅ローンとは関係の無い債権(生活費のため消費者金融から借り入れをした場合の消費者金融の債権等)について、抵当権その他担保権が設定されている場合にも住宅資金特別条項を設けることはできますか。
できません(民事再生法198条1項但書前段)。

個人再生においても、担保権者は別除権者として別除権を行使することができ、そうすると再生計画で住宅資金特別条項を定めたとしても、別除権の行使により住宅の処分が可能となり、住宅資金特別条項が無に帰するからです。

2.投資用の物件については、住宅資金特別条項を利用できますか。
できません。上記で述べましたように、居住用の物件にあたらないからです。
3.住宅資金特別条項を利用した場合にも、債権者は債務者の遅滞等について、保証人の法的責任を追及することはできるのでしょうか。
追及することはできません。本来、個人再生の手続を取ったとしても、債権者が保証人の責任を追及することは可能なのですが(民事再生法117条2項)、住宅資金特別条項を利用した場合には、債務者が住宅資金特別条項に沿った返済を続けている限り、保証人は責任を追及されません(同法203条1項)。
4.住宅ローンの負債しかない場合でも住宅資金特別条項付個人再生を利用できますか。
できます。この場合、上記5類型のいずれかを選択することになります。
5.住宅資金特別条項付個人再生を利用するメリットが大きいのはどのような場合でしょうか。
一般の負債が500万円以上あるような場合には、同制度を利用すれば、一般の負債は大幅に減りますので、メリットは大きいです。他方、一般の負債が100万円〜200万円の場合には、あまりメリットはありません。
6.変動金利の場合、どのような形で再生計画案を作成するのでしょうか。
再生計画案作成時点の金利で再生計画案を作成し、その後、金利変動時に、再度リスケすることになります。
7.もともとボーナス時に多めに支払う契約条件だったものを均等払いの形に変更することはできますか。
できます。但し、年間の総支払額がこれまでの総支払額に比較して大幅に減少しないことが必要です。
8.住宅ローン債権者が再生計画案に反対した場合、再生計画案は認められないのでしょうか。
同意型以外は、住宅ローン債権者の同意は不要ですので、住宅ローン債権者が再生計画案に反対したとしても法律の定める条件を満たす場合には、再生計画案は認められます。
9.当初の契約上の最終返済期の時点で70歳を超えておりますが、再生計画案において70歳を超える形にすることはできますか。
原則としてできません。最終弁済期延長型及び元本据置型においては、法律上70歳を超えないことが要求されているからです。従いまして、住宅ローン債権者の同意がない限りこのような再生計画案は作成できません。
10.再生計画案の認可決定が確定した場合、保証人・連帯債務者に対してはいかなる効力が生じますか。
再生計画案の効力は保証人・連帯債務者に対しても効力を生じます(民事再生法203条1項)。

仮に再生計画案の効力がこれらの者に対して及ばないとすると、リスケジュールをした意味がなくなるからです。なお、この場合、再生債務者は、住宅の共有者、住宅の敷地を所有する物上保証人、保証人、連帯債務者に対してその旨通知をしなければなりません(民事再生規則104条)。

11.申立前に事前にリスケジュールしてもらうことは可能でしょうか。
可能です。金利、返済期間が分かれば、事前にシュミレーションすることができます。

当事務所では、期限の利益回復型、最終弁済期延長型、元本据置型、同意型及びそのまま型それぞれの場合の返済方法について、ご依頼者様のご希望に沿ってリスケジュールいたします。

12.現在、住宅ローンの対象となっている住宅には住んでおりませんが、住宅資金特別条項付個人再生は利用できますか。
原則としてできません。「自己の居住の用に供する建物」でなければならないからです(民事再生法196条1号)。但し、単身赴任中であるとか止むを得ない事情により別居しているなどの場合には、利用できることがあります。いかなる場合に「自己の居住の用に供する建物」と言えるかについては決まった基準は無く、居住できない理由、期間、住宅ローンの返済者は誰か等を総合して判断することになります。離婚後、一定期間(子供が大きくなるまで等)妻子に居住させ、期間経過後自分が居住する予定である場合についても、同様の基準で「自己の居住の用に供する建物」に該当するとされることがあります。
13.住宅について、買い戻し特約が付いている場合にも個人再生を利用できますか
利用できます。法律上買い戻し特約が付いている場合について規制はないからです。
14.住宅について、税金の滞納について差押えがなされておりますが、個人再生を利用できますか。
利用できます。税金については個人再生の対象外ですので金額を減額することはできませんが、通常、個々に交渉して支払いを続けていくことで競売にかけられることを避けることが多いです。
15.住宅ローンについて、通常の抵当権ではなく、根抵当権が設定されている場合にも、個人再生を利用できますか。
住宅ローン以外の一般のローンが根抵当権によってカバーされている場合には利用できませんが、そうでなければ利用できます。
16.住宅について、競売が申し立てられておりますが、止めることはできますか。
できます。裁判所に競売手続中止命令申立てを行い、裁判所の中止命令を得た場合には、競売手続は止まります。
17.住宅ローンについて、保証会社が代位弁済をしてしまっているのですが、個人再生の申立ては可能ですか。
   
可能です。代位弁済した日から6か月以内であれば、個人再生の申立てが可能です(民事再生法198条2項)。この場合、巻き戻しにより、元の金融機関が再び住宅ローン債権者となります。
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